動き始めた 汽車の窓辺に

 香港に台風が上陸するという噂があった。天気予報ではもう一日もちそうとの話があることは知っていたが、広州駐在者の話では台風は早まるだろうとのことだった。天気は地元の人に従うのが一番と思い、広州は早々に引き上げることにした。
 広州での打ち合わせは随分時間がかかった。初めが広州市内の会社だったが、予定を大きくこえたのでお昼は近くのご飯やでジャージャー面を食べることに。ちょうどダンボール肉まん事件がまださめやらぬ頃だ。何かの話でこの店は東北のお店なので餃子をぜひ食べて欲しいと現地の人に言われた。残しても良いなら食べるというと、色とりどりの蒸し餃子が皿に20個ぐらいのって出てきた。見るからに着色料が入っている。どんな食わず嫌いといわれてもいい、自分は白い餃子だけ食した。ものすごいにんにくの量だった。時間はあるからもう少し食わないかという。
 冗談だろう。辞退して次の訪問先に向かった。次の訪問先の会議も長引いた。
 それで自分は訪問先の玄関に戻った。先とは大分模様が変わっていた。大きな車付けの道路が無くなって、一面泥の海になっていた。急激に到着した台風が大雨を降らせ、また通り過ぎていた。それでも帰りのボートは台風の為大波で完全に船酔いだった。